石灰岩のできるしくみ 1

セメントの原料や製鉄用の溶剤として、日本各地で毎日多くの石灰岩が掘り出されています。

日本の地下資源の中でも石灰岩だけは、将来的にも十分に自給できるものです。

それでは、なぜ日本にそんなに多くの石灰岩があるのでしょうか?

製鉄用に使う石灰岩というのは、実はそれほど高品質のものでなくてもよいのだそうですが、日本の石灰岩は非常に純粋で高品質でありもったいないくらいなのだと言われています。

それは陸で作られるものと違い、海の中で育ったサンゴ礁からできた石灰岩だからというわけです。

日本の石灰岩地帯はほぼ日本列島に沿って帯状に続いていますが、これはプレートに乗って運ばれてきた海山の上にあったサンゴ礁が古い大陸側に付加体として付加したためだと言われています。

では、サンゴ礁が付加体として付加するメカニズムについて考えてみましょう。

まず、はるか南の海岸底にホットスポットと言われる常に火山活動を行っている場所があり、ここで作られた火山島の浅瀬にはサンゴ礁が育ちました。

石灰岩のできるしくみ 2

この火山島はプレートに乗って移動し、島は侵食されていき、また、海底が徐々に深くなるために沈んでゆきました。

サンゴは浅い所でないと生育しない習性があります。

ですから、沈みゆく島の上で必死になって上へ上へと向かって育ち、島の沈下とともに海岸部に接した裾礁から島との間に湖(礁湖)を形成する堡礁、さらには島がなくなり環状の外礁と礁湖のみとなる環礁へと変わってゆき、多くの死んだサンゴの上にさらに新しいサンゴが育ちました。

そのうち島は完全に海面下に没し、海山となり、莫大な量の石灰岩とともに海溝に達して沈み込みを始めたというわけです。

海溝では海山を作っていた玄武岩も、その上に乗る石灰岩もそれぞれがバラバラとなり、海溝堆積物として混ざり合って付加してゆきました。

これが現在各地にみられる石灰岩です。

このように、日本の石灰岩は良質のサンゴ礁でできた高級品ということがお分かりいただけると思います。

山が作るさまざまな岩石

山ができる過程で作られていく岩石について、種類別にまとめました。
岩石のさまざまな特性を見てみましょう。

  • 深成岩の代表「花崗岩」…火山岩の流紋岩に対応するケイ長質と言われる深成岩です。
  • 独特な深成岩「蛇紋岩」…深成岩の一種ですが、成り立ちが非常に独特で、地形やその植生に大きく影響を与える岩石として知られています。
  • 深成岩と半深成岩…一般には石英閃緑岩として出てくることが多いようです。
  • 堆積岩…岩石が風化作用で細かくなり、水や風の力などで運ばれて堆積したものを堆積岩と呼びます。
  • 石灰岩のできるしくみ…なぜ日本にそんなに多くの石灰岩があるのでしょうか?
  • 変成岩…多種多様な変成岩がありますが、ここでは山と関連の深いものを4つほど挙げていきます。
  • スコリアと軽石…スコリアや軽石といった別の物質が作られます。
  • 岩石の節理…岩石にはその岩石特有の割れ方があり、これを節理と言います。
  • 岩石の風化のしくみ…岩は礫になり、砂になり、最後は粘土に変化していきます。

このページの先頭へ